改革と略史
変革
大阪府立大学は,世界一の大きさを誇る仁徳天皇陵をはじめ多数の古墳が点在する堺市の中部に位置し,開発の進んだ町中でもかなり緑の多い「百舌鳥古墳群」の中にある.
その昔,仁徳天皇陵はこの辺りでよく遊猟したそうで,ここを陵地と定めた.ある時,築造工事をしていると,シカが野から走り出て役民の中に入って倒れて死んだ.そのシカの耳からモズが飛び去ったので,ここを「百舌鳥耳原」と号した(日本書紀)と言われている.これがモズという地名の由来である.
地下鉄御堂筋線の最南端駅「中百舌鳥」へ新大阪駅や大阪駅から乗り替え無しで来学できるようになって交通の便が良くなり,「学術交流会館」と呼ばれる会議施設が完成したこともあって,かなりの数の学会,講演会等が開催されている.また関西空港が完成して空港からも近くなり,「府立大学が少し遠くて…」という言葉は聞かれなくなった.
本学は旧制官立大阪工業専門学校(昭和14年設立時は大阪高等工業学校,19年に名称変更)と府立化学工業専門学校(昭和18年設立時は大阪府立堺高等工業学校,19年に名称変更)等を母体校として昭和24年に浪速大学として設置され,昭和30年に現在の名称に改められた.
大学設置後の数度に及ぶ学部増設,統廃合により,現在は工学部,農学部,経済学部,総合科学部,社会福祉学部の5学部,18学科,135講座で構成されている.大学院博士課程は昭和28年に設置された工学研究科をはじめとして,現在は社会福祉学部を除く各学部に設けられ,18専攻126コースで構成されている.また,大学における教育機関として,附属図書館,計算センター,工学附属実験工場,学術交流会館などを有している.
工学部は,機械システム工学,エネルギー機械工学,航空宇宙工学,電気電子システム工学,電子物理工学,情報工学,応用化学,化学工学,材料工学,機能物質工学,海洋システム工学,経営工学,数理工学の13学科,から構成され,入学定員は総数は435人である.大学院工学研究科博士課程は3専攻13分野から成り,入学定員は,博士課程前期(2年)が132人,博士課程後期(3年)が66人である.
海洋システム工学科は旧制官立大阪工業専門学校の造船科(昭和17年設置)を前身として,昭和24年の浪速大学設置と同時に現在の名称で発足した.新しい時代の要望に応えるべく教育研究体制の拡充を図り続け,最近では,船舶のみならず海洋の技術開発にも積極的に対応するため,平成5年に海洋システム工学科に改称し現在に至っている.学生定員は学部30名,大学院博士前期課程8名,博士後期4名である.
歴史
昭和13年 | 8月 | 大阪高等工業期成聯盟発足 | |
14年 | 1月 | 官立大阪高等工業学校期成同盟発足 | |
14年 | 5月 | 22日 | 大阪高等工業学校の創立公布 |
7月 | 10日 | 大阪高等工業学校第1回入学式 | |
17年 | 3月 | 25日 | 造船学科の増設決定 |
4月 | 1日 | 造船学科第1回入学式(40名) | |
18年 | 5月 | 22日 | 至誠寮(学生寮) 開寮式挙行 |
19年 | 4月 | 1日 | 『大阪工業専門学校』に改称 |
9月 | 20日 | 造船学科第1回卒業生卒業 | |
23年 | 10月 | 15日 | 府立新制大学設置許可を文部省に申請 |
24年 | 2月 | 21日 | 工学部および農学部の設置認可 |
3月 | 25日 | 教育学部設置認可 | |
4月 | 1日 | 浪速大学設置 | |
26年 | 3月 | 10日 | 大阪工業専門学校最後の卒業式、閉校式 |
28年 | 3月 | 18日 | 新制大学第1回卒業式挙行 |
3月 | 31日 | 大学院工学研究科修士課程(機械、電気、金属、工業化学)設置認可 電気、船舶工学科棟(現工学部6号館)竣工、船舶動揺水槽竣工 |
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29年 | 3月 | 20日 | 経済学部増設の許可 |
30年 | 3月 | 30日 | 大学院工学研究科博士課程(機械、電気、金属、工業化学)増設認可 |
10月 | 1日 | 『浪速大学』を『大阪府立大学』と改称 | |
32年 | 4月 | 1日 | 大学院工学研究科船舶工学専攻修士課程設置 |
10月 | 30日 | 試験水槽増築完成 | |
38年 | 4月 | 船舶第4講座増設 | |
45年 | 4月 | 1日 | 大学院工学研究科船舶工学専攻博士課程設置 |
47年 | 12月 | 回流水槽完成 | |
平成 4年 | 4月 | 26日 | 船舶工学科創立50周年記念式典開催 |
5年 | 4月 | 1日 | 海洋システム工学科と改称 |