片山研究室とは

片山研究室の概要

目標と研究内容
安全・快適かつ環境負荷の小さく、誰もが安心して利用できる船舶・水中移動体・海洋資源開発機器の設計・開発・性能向上および運用支援を目標とし、以下の研究活動を行っています。
  • 運動性能および流力性能評価のための実験装置&解析法の開発
  • 運動性能および流力性能を予測・推定する方法の開発(水槽試験やCFDを駆使した運動や流体力の発生メカニズムの解明および数学モデルの構築、コンピュータシミュレーション&評価法の開発)
  • 開発した性能評価手法に基づく性能最適化(性能向上指針の提案、性能評価に基づく最適使用法の提案、目的に合わせた性能最適設計、性能向上装置の開発)
研究体制
海洋システム工学分野においては、大講座制が採用され基本的に一研究室一教員体制が敷かれています。

本研究室では、上記目標達成のため研究室の特徴を最大限に生かし、学内外の研究グループとアライアンスを組みながら研究に取り組んでいます。また、研究成果を社会に還元するために、製品開発にかかわる共同研究、各種技術相談にも積極的に取り組んでいます。

具体的な研究対象
1.滑走艇の性能評価手法の開発および設計の効率化に関する研究
船舶の高速化には、航走時の水面下にある体積や水に浸かっている表面積を減らす事が重要となります。

これを実現するための一つの船型として滑走型船型があります。この船型は、古くから用いられ、小型のレジャーボートから中型の高速フェリーまで多くの船種に用いられています。滑走艇では、前進速度が速いため、一般的な排水量型船舶とは異なる流体力学的現象&運動特性が見られます。

この研究では、その最高速度が時速50kmから100kmを超える超高速領域での、PWCや小型のボートから小型の高速艇および中型の高速船の各種性能についての以下のような研究を行っています。

  • 不安定現象の発生メカニズムの解明とその推定法の開発
  • 実海域抵抗推進性能および燃費性能評価法の開発
  • 操縦性能試験法ならびにシミュレーション法の開発
  • 波浪中運動性能シミュレーション法の開発
keyword
高速、滑走艇、船外機、不安定現象(porpoising、chine-walking、corkscrew、non-zero-heel、bow-diving、directional instability)、復原性、波浪中運動性能、操縦性能、抵抗推進性能、燃費性能、滑走艇操縦運動シミュレーション、航走姿勢&抵抗&燃費シミュレーション、波浪中運動シミュレーション、不安定現象発生評価法
2.多様な船型の船舶,水上機(USV),潜水機(UUV)の性能評価に関する研究
船舶の総合的な輸送効率の向上のため、さまざまな形式の船舶、付加装置の提案・設計が行われ、就航・実用されています。

たとえば、高速化を目指し開発された水中翼船、双胴船や三胴船に代表される多胴船、ホバークラフトやテクノスパーライナーなどに見られるSES、積み付け効率向上を目指した専用船(PCCやコンテナー船)など、いろいろなものがあります。また,海洋調査等で利用される船舶に比べれば小型の水上機や潜水機はその使用環境や目的に合わせて一般的な商船とは異なる形をしています.

このように多様な水上および水中移動機器は,これまでに研究されてきた船舶とは異なる流体力(抵抗・操縦・耐航・復原)特性を示すことがあり、今後性能を最適化するためには、これら流体力特性の把握が重要です。

この研究では、これまでに一般商船の性能開発で培われてきた高精度な水槽試験、設計ツール、コンピュータシミュレーション,CFDを用いて各種船型の性能を把握し、設計に利用できる有用なデータを蓄積し最適な性能を提供することを目指しています。

keyword
3胴船、双胴船、滑走型、翼付き、潜水機、水上機、復原性、操縦性能、波浪中運動性能、高速船操縦運動シミュレーション、多胴船復原力計算プログラム、横揺れ減衰力推定法,CFD,水上ドローン,水中ドローン
3.船舶の安全性に関する研究
船舶は、人や貨物の輸送、海洋の水産・鉱物資源の採取、海洋における調査などに利用されます。

これらの用途に合った性能を向上させることは重要なことですが、あらゆる船舶にとって人命を確保することはもっとも重要です。

そのためには、まず海難事故を防止すること、つぎに万が一事故が発生した場合でも人命を確保し、環境に与える影響を最小限にくいとめることが重要となります。

この研究では、荒天中を航行する貨物船や旅客船および操業する漁船の復原性ならびに耐航性、損傷を受けた船舶の復原性に関する研究を行っています。

keyword
漁船、作業船、客船、貨物船、非損傷時復原性、損傷時復原性、操業時安全性、損傷時復原力計算プログラム、横揺れ減衰力、甲板上に滞留水を有する漁船の減衰力推定法
4.海洋構造物および海洋開発機器に働く波力および荒天中の非線形挙動に関する研究
海洋構造物や海洋開発機器はその目的により、荒天中での長期使用といった過酷な状況で使用されます。

また、研究・調査のために、これまでに経験したことのない条件のもとで使用されることもあり、実際に建造され使用されるまで何が起きるかわからないことがあります。

この研究では、模型試験、理論計算、数値シミュレーションを通してこのような海洋開発機器が使用される状況を再現し、そこで生じる流体現象や複雑な運動を予測・評価するとともに最適化の指針の提案を目指しています。

keyword
海洋構造物、粘性流体力、荒天中、非線形挙動シミュレーション
5.各種試験水槽を用いた性能試験法ならびに評価手法の提案および開発
海洋システム工学分野には曳航水槽(長水槽)、回流水槽、2次元水槽の大きな試験水槽がありこれら水槽では船舶や海洋構造物に関する平水中、波浪中、風浪中での性能評価に関する研究がおこなわれています。

これら水槽には船舶海洋分野での各種性能評価のために開発された実験機器があります。

ここでは、これまでに船舶海洋分野で開発された様々な水槽試験法を踏襲し、さらにはこれまでの形式にとらわれない、各種水槽を用いた流体に関係する実験法ならびに解析法を構築しています。

keyword
曳航水槽、回流水槽、2次元水槽、造波装置、突風発生装置、超高速曳航装置、強制上下動揺試験装置(VMM)、強制横揺れ試験装置(RMM)、強制水平動揺装置(PMM)、運動計測装置、容量式波高計、サーボ式波高計、翼車流速計、プローブ式風速
人材育成目標
「高い専門能力と幅広し知識を有する人材」

「ゼロから課題を設定でき、実行できる人材」

の育成を目指す。

  • 既成概念に捉われない柔軟思考(ビジョナリーシンキング)
  • コミュニケーション力
  • ダイバーシティ(多様性)への理解力
  • 変化対応力
  • セルフエンパワーメント(自己開発能力)
達成目標
博士後期(博士論文)

  • 学術的に意義のある研究テーマを提案し,研究を遂行できる
  • 国際的学術雑誌への投稿,国内外の学術講演会での講演

 

博士前期(修士論文)

  • 議論の中で(アドバイスに従って),自らが実施する内容を理解し,その詳細を自ら提案し実行できる
  • 学術的に意義のある研究内容であるかどうかを判断できる
  • 国際的な学術講演会での講演,国内学術誌への投稿

 

学域(卒業論文)

  • 指導された内容を理解し実施できる
  • 自身の研究内容を正確に説明できる
  • 国内の学術講演会での講演
学術的活動
共同研究への参加

学会活動への参加

  • 日本船舶海洋工学会学生会員としての活動
  • KFR例会への参加

国内外の学術講演会での講演

  • 日本船舶海洋工学会定期講演会,国際会議(STAB, ISSW, FAST, HPMV, CPBS, ISOPE etc)

国内外の学術論文集への投稿

  • JJASNAOE, JMST, OE, APOR, JSR, ISP, JISOPE etc
アドミッション・ポリシー
①研究をしたい人

研究に答えはない。日々の努力が大切。

②答えのない問題を解決できるようになりたい人

答えのないことがわかるようになることにわくわくできる人。

③特定の学問に執着する熱意のある人

自分オリジナルなものを作り出そうという熱意がある人。

④負けん気の強い人

世界中の人が同じような問題を解決しようとしている。

いち早く結果を出したと思える人。

⑤国内外での学会発表,学術論文を書きたい人

①③④ができないと成果は出ない。研究の評価は,

自己満足ではない。有用であると認められることが重要。

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